私の施術のコンセプトについて

ブログを読んでいただきありがとうございます。
今回は私が整体コースを実践する上でのコンセプトについてお話します。少し専門的な内容となりますがご容赦ください。

これまで主に痛みや痺れに対する徒手療法に関する研修会に数多く参加してきました。その中でも整形徒手療法の国際コースで学んできたことが今日の私のコンセプトの中心となっています。その一部をご紹介します。

痛みや痺れの原因を分析する

皆さんは同じ病名や手術であるにもかかわらず、痛み方や痺れの有無、回復のはやさなどに個人差があることについて疑問に感じたことはないでしょうか?その理由は、病名が例え同じであっても、いくつもの要因が複雑に絡み合って症状を引き起こしていることに他ならないと思います。つまり『この病名の場合はこれさえすれば良い』といった決まった方法はないということです。確かに画像診断や様々な検査技術の進歩により診断能力は飛躍的に向上しています。しかしそれだけでは症状が複雑な場合ほど原因解明には至りません。更に必要となるのは詳細な触診や運動検査などにより痛みの発生場所を特定し、症状(訴え)と徴候(検査所見)との関連性(表1)を導き出すことであると思います。

 
表1 体性機能障害の一般的な特徴

〇症状(病歴):
・疼痛、筋力低下、硬直、知覚麻痺、頭痛、めまい、嘔気など
〇徴候(身体の検査所見)
 A.軟部組織の変化
・組織の緊張の変化、弾力性、形態、皮膚の手触り、色調、温度など
 B.機能的変化
・筋力低下、耐久性、協調性
  ・可動性の異常
・関節(Hypermobility/Hypomobility)
・軟部組織(たとえば拘縮)
・神経と血管の要素(絞扼によるもの/神経の過敏状態)

(Frddy M Kaltenborn 著、富雅男 訳:脊柱の評価とモビリゼーション.医歯薬出版株式会社,東京,1997.より一部改編.)

具体的な方法


まずは『痛みや痺れがいったいどこの関節で起きているのか?』またそれは『どのような組織が関わっているのか?』を明らかにします。私はOlaf Evjenthによる『症状局在化テスト』を用います。このテストは痛みの境界でわずかに関節を動かすことで痛みを誘発あるは緩和し痛みの発生源を特定するものですが、論理的な思考能力、正確な手順、検者の技術の3つの要素がそろわなければ臨床で用いることは難しい方法です。しかし、実際に痛みのある姿勢や動作の中で検査が行えるため症状と徴候の関連性が高く、非常に有効な方法となります。

表2 評価手順

1.問題のある大まかな部位を特定する:
 スクリーニングテスト/病歴聴取/視診・触診・自動運動
2.問題のある関節やセグメントを特定する:
 症状局在化テスト(誘発・緩和テスト)
3.問題のある組織(神経・筋・靭帯など)を特定
 機能テスト(自動・他動運動/並進性のJoint play/抵抗運動テスト)
4.総合的に原因を分析:
 可能であれば神経と血管の検査、医学的診断としての画像診断・臨床検査・電気診断なども考慮する。仮説に基づき試験的に施術を実施し、効果が認められれば、仮説が正しものと考えられるためさらに複数の手技を実施

病巣がわかれば、さらにその関節や筋肉、神経などの状態をみていきます。つまりこれら組織の機能が具体的にどのように正常から逸脱しているのかを把握します。最終的には知りたい内容をまとめると表3のようになります。

 
表3 評価のまとめ

1.姿勢や動作によりどこに疼痛が生じるか?
2.神経学的徴候
3.領域の特定
4.問題の脊椎分節はhyperかhypoか?
5.組織の特定
6.影響を与えている因子(生体力学的因子/行動的因子/中枢神経による処理過程の不適合など)

アプローチについて

IFOMPT(国際徒手理学療法連盟)は特定の手技に偏るのではなく、エビデンスに基づく幅広い徒手理学療法を推奨しています。私は『OMT Kaltenborn-Evjenth International』(表4)のDiploma、『Mulligan concept』(表5)のCertified Mulligan Concept:CMPを取得したこともありこれらのテクニックが中心となっておりますが、神経、筋、関節に対するテクニックや深部筋のトレーニング(スタビライゼーション)などバリエーションに富んだ内容となっております。また他にも様々な徒手療法やリンパドレナージなどのテクニックも学んできましたのでそれらの個性を生かしつつ、軸は運動器徒手理学療法ですが様々なテクニックを適宜用いています。

 
表4 KEIのテクニック


1.軟部組織モビライゼーション
2.関節モビライゼーション
3.神経モビライゼーション
4.関節スタビライゼーション
 リハビリテーショントレーニング
5.スラストテクニック
6.自己治療のテクニック
(Evjenthによるオートストレッチングなど)

 
表5 Mulligan conceptによるテクニック


1.NAGS(椎間関節自然滑走法)
2.REVERSE NAGS(逆椎間関節自然滑走法)
3.SNAGAS(持続的椎間関節自然滑走法)
4.MWMS(四肢運動併用モビライゼ-ション)
5.SMWAMS(上肢運動併用脊椎モビライゼーション)             
 SMWLM(下肢運動併用脊椎モビライゼーション)
6.PRPS(疼痛解放現象テクニック)など

終わりに

専門的なことを書きましたが、『このようなことを考えながら施術をしているんだ・・・』ぐらいでご理解いただけると嬉しいです。